「価格でしか差がつかないPB」から抜け出したい。そんな悩みを抱えるPB企画担当者にとって、抹茶チョコレートは検討価値の高いカテゴリーです。原料調達のハードルが比較的低く、産地ストーリーで差別化しやすく、季節限定企画やギフト商品にも展開しやすい――この3つの条件を同時に満たせる数少ない菓子カテゴリーだからです。本記事では、市場動向・他社事例・企画の進め方までを整理し、自社ブランド商品としての抹茶チョコレート開発を検討する際の判断材料をお届けします。
1. 抹茶チョコレート市場の今
抹茶は今や日本国内だけのブームではありません。世界の抹茶市場規模は2025年時点で約45億〜50億米ドル規模と推計され、今後10年で倍近くに拡大する見通しが複数の調査機関から示されています。抹茶・粉末緑茶の輸出額も2019年から3倍程度に拡大し、2024年には約364億円に達しました。輸出先の上位を占めるアメリカでは、抹茶ラテだけでなく抹茶チョコレートやアイスクリームといった加工食品の人気も高まっており、ピエール・エルメやラデュレといった海外の高級ブランドが期間限定で抹茶スイーツを展開する例も増えています。
国内でも動きは活発です。2025年4月にはロッテが「ガーナ 抹茶チョコレート」を発売して話題になったほか、明治は「きのこの山」に宇治抹茶、「たけのこの里」に西尾抹茶を使用した食べ比べ商品を展開するなど、ナショナルブランド(NB)各社が抹茶を軸にした商品開発を強化しています。背景には、高カカオ・低糖質志向の高まりの中で、抹茶のカテキンやテアニンといった健康訴求成分が「体にうれしいスイーツ」として受け入れられやすいという事情もあります。市場が拡大し、消費者の受容度がすでに高いカテゴリーだからこそ、PBとして参入する際の「説明コスト」が小さいのが抹茶チョコレートの強みです。
さらに注目したいのは、抹茶ブームが一過性の流行ではなく、健康志向・体験消費・インバウンド需要という複数の追い風が重なって形成されている点です。単なる「グリーンの見た目がかわいいスイーツ」ではなく、抗酸化作用や集中力サポートといった機能面の訴求も同時にできるため、機能性表示や健康軸のPB企画とも相性が良く、長期的に育てやすいカテゴリーだといえます。
2. なぜ抹茶チョコレートはPB企画に向いているのか
2-1. 原料調達・製造のハードルが比較的低い
抹茶チョコレートは、既存のチョコレート生地に抹茶パウダーを練り込む、あるいはコーティングするというシンプルな工程で商品化できます。ゼロから新規カテゴリーを立ち上げるのに比べ、OEM対応可能な製菓工場の選択肢が多く、小ロットでの試作にも対応しやすいため、開発期間とコストを抑えやすいという利点があります。
2-2. 「和」「国産」「産地」というストーリーで差別化しやすい
宇治抹茶、西尾抹茶、京都の老舗茶舗の抹茶など、産地や仕入れ先を明確に打ち出すだけで、NBとは異なる独自の物語を作れます。原材料の産地訴求は、価格以外の付加価値を伝える最も分かりやすい手段のひとつです。
2-3. 価格帯の幅が広く、松竹梅の商品構成が組みやすい
デイリーユースの廉価版から、化粧箱入りの高級ギフト版まで、「抹茶チョコレート」という同じ軸のまま複数の価格帯を展開できます。入口商品で新規客を獲得し、上位商品で客単価を上げるという、PBならではの段階的なライン構成がしやすいカテゴリーです。
イメージ:抹茶チョコレートは価格帯・用途別に松竹梅のライン展開がしやすい
3. 他社と差がつくPBならではの差別化ポイント
PBが埋没しないためには「その店でしか買えない」独自性が欠かせません。実際、セブンプレミアムでは「生チョコレート抹茶」「ザクザククランチチョコ 宇治抹茶」「チョコ焼いちゃった 抹茶」など、食感やフォーマットの異なる複数SKUを展開し、抹茶という軸を保ちながらシリーズとして売場を作る手法をとっています。単品勝負ではなく、シリーズ展開によって棚の存在感を高めているのがポイントです。
海外に目を向けると、米国のトレーダージョーズは抹茶ホワイトチョコレートバーのような、他にはないユニークな組み合わせの商品をPBとして展開し、独自のファン層を獲得しています。PBは市場調査や大規模なブランド投資をしなくても、店舗の顧客データを踏まえた小回りの利く商品企画ができるのが強みです。地域の茶産地とのコラボレーションや、その店舗チェーンでしか手に入らない限定ブレンドといった切り口は、他社には真似しにくい差別化になります。
PB開発のメリット(一般論)
プライベートブランドは、小売業者が企画から製造委託までを主導することで中間コストを抑え、価格競争力を持ちながら利益率を確保しやすいという特徴があります。加えて、店頭やECでの購買データを直接分析できるため、消費者ニーズの変化を素早く商品企画に反映できる点も、NBにはない強みです。
参考にしたいプライベートブランドの抹茶チョコレート展開事例
企画の参考として、実際に展開されているPB(プライベートブランド)の抹茶チョコレート商品を整理すると、以下のような特徴と効果が見えてきます。
| 展開元 | 商品傾向 | 得られている効果・着眼点 |
|---|---|---|
| セブンプレミアム/セブンプレミアムゴールド(コンビニPB) | 「生チョコレート抹茶」など厳選素材を使った上位ラインを、定番のクランチ・焼き菓子シリーズと併走させて展開 | 高付加価値PBの強化がテレビCM等の効果と相まって若年層の購入増加・客単価上昇につながったと報じられている |
| ローソン Uchi Café×森半「ショコラドーム 抹茶」(コンビニPB×老舗ブランドコラボ) | 宇治の老舗茶舗「森半」監修という肩書きを添え、標準価格帯より高めの価格でチョココーティングスイーツとして展開 | 専門店とのコラボにより「特別感」を付与し、プレミアム価格でも支持される構造をつくっている |
| トップバリュ(イオンPB) | 「宇治抹茶使用 チョコビスケット」のようなベストプライス帯から、素材にこだわった上位帯まで幅広い価格帯で展開 | 価格帯を分けることで、節約層とこだわり層の両方を1つの売場で取り込める |
| トレーダージョーズ(海外PB) | 抹茶ホワイトチョコレートバーなど、大手他社にはない独自の組み合わせを商品化 | その店でしか買えない希少性が、熱心なリピーターの獲得につながっている |
これらの事例に共通するのは、「抹茶×チョコレート」という分かりやすい軸を保ちながら、①シリーズ化による棚の存在感、②老舗ブランドとのコラボによる特別感、③価格帯の作り分け、④他にはない独自フレーバー、のいずれかで差別化している点です。特にコラボレーションや上位ラインの強化は、単価アップとブランド価値向上を同時に狙える手法として参考になります。
4. 季節限定展開との相性の良さ
抹茶チョコレートは、一年を通じて複数の「切り口」を持てる数少ないカテゴリーです。バレンタイン・ホワイトデーの定番需要はもちろん、母の日には上品な和テイストのギフトとして、夏場は冷やして食べる「冷やし抹茶チョコ」、秋冬には濃厚な味わいを訴求した「濃抹茶」シリーズなど、季節ごとにテーマを変えて展開できます。
実際、2025年のバレンタインチョコレート市場は前年比6.4%減の約301億円と推計される一方、業界全体では「バレンタイン依存」からの脱却が進み、夏場を含む通年でのチョコレート需要が拡大する傾向にあることが指摘されています。季節に応じてテーマを切り替えられる抹茶チョコレートは、こうした通年需要の取り込みに適したカテゴリーだといえます。
流通業界では、季節限定商品や催事コーナーでの打ち出しが客数増加や新規客層の掘り起こしにつながった事例が複数報告されています。棚の一角を「抹茶チョコレート特設コーナー」として年間カレンダーに組み込み、季節ごとにパッケージや商品名を変えて展開することで、リピート来店のきっかけを作りやすくなります。

5. ギフト化で客単価とブランド価値を高める
抹茶チョコレートは、和の高級感を演出しやすく、ギフト需要の取り込みにも向いています。個包装や化粧箱、のし対応を用意すれば、帰省土産や取引先への手土産といった需要を店頭で直接取り込めます。バレンタイン期のギフト需要そのものは成熟化しつつありますが、フラワーやフレグランスなど周辺カテゴリーへの需要分散が進む中で、抹茶チョコレートは「和」という独自ポジションを保ちながら選ばれやすい商品でもあります。
また、訪日外国人による「Japanese Matcha Chocolate」への関心の高さも見逃せません。抹茶が持つ健康的なイメージと日本らしいパッケージデザインは、インバウンド土産としての需要も期待できます。店頭でのギフトコーナー展開に加え、ECサイトでは詰め合わせセットや限定パッケージを用意することで、客単価アップと新規顧客の獲得を同時に狙えます。
6. 店頭・ECでの展開を成功させるポイント
店頭では、デイリー菓子棚での定番展開と、季節ごとの催事コーナーでの特設展開を組み合わせる「二毛作」的な売場運用が効果的です。ECでは、店頭で扱いにくい大容量パックや詰め合わせセット、限定パッケージを用意することで、店頭との差別化と客単価向上を同時に狙えます。抹茶グリーンの鮮やかなビジュアルはSNSとの相性も良く、パッケージ写真がそのまま拡散されやすいという特性もあります。
- 店頭:定番棚+催事コーナーの二毛作展開、レジ横でのついで買い訴求
- EC:大容量パック・詰め合わせセット・限定パッケージで客単価アップ
- SNS:抹茶グリーンのビジュアルを活かした投稿映えパッケージの設計
- 越境EC:インバウンド・海外需要を見据えた多言語パッケージ表記
7. PB抹茶チョコレート企画の進め方(5ステップ)
実際の企画では、以下の5つのステップを行き来しながら進めるのが一般的です。特に試作・官能評価は味の方向性を左右する工程のため、複数回に分けて丁寧に行うことをおすすめします。
- コンセプト設計:ターゲット層、想定価格帯、利用シーン(自家消費/季節限定/ギフト)を明確にする。
- 原料・パートナー選定:宇治・西尾・京都など産地を決め、対応可能なOEM製菓工場を選定する。
- 試作・官能評価:抹茶の苦味と甘さのバランス、口どけなど、社内外でテイスティングを重ねる。
- パッケージ・ネーミング開発:定番版・季節限定版・ギフト版それぞれのデザインとコピーを作り込む。
- 販促計画の策定:年間の季節カレンダーと連動した陳列計画、SNS施策、EC限定企画を設計する。
8. 開発時に押さえておきたい注意点
抹茶チョコレートの企画にあたっては、いくつか押さえておくべき留意点もあります。まず、抹茶の需要拡大と輸出増加に伴い、原料価格が上昇傾向にあることです。原価設計の際は、価格変動リスクを織り込んだ調達計画が欠かせません。次に、抹茶パウダーは光や熱、時間の経過で退色・風味劣化しやすいため、パッケージの遮光性や賞味期限設計にも配慮が必要です。さらに、産地や品種によって苦味・甘みのバランスが大きく異なるため、試作段階でのテイスティングを丁寧に行い、ターゲット層に合った味づくりをすることが、リピート購入につながる鍵になります。
| チェック項目 | ポイント |
|---|---|
| 原料コスト | 抹茶価格の上昇を織り込んだ価格設計と調達先の複数確保 |
| 品質保持 | 遮光包装・適切な賞味期限設定で退色や風味劣化を防止 |
| 味のバランス | ターゲット層に合わせた苦味・甘みの調整と官能評価 |
| 展開設計 | 定番・季節限定・ギフトの3ライン構成で通年需要を確保 |
9. 抹茶の風味を活かす製法選び:クーベルチュールとBean to Bar
抹茶チョコレートを製造する際は、ベースとなるチョコレートの作り方にも選択肢があります。大きく分けると、既製のクーベルチュールチョコレートを溶かして抹茶を配合する方法と、カカオ豆の選定・焙煎・製造工程までを一貫して手がける「Bean to Bar」の方法の2つです。
クーベルチュールを使う方法は、安定した品質で比較的スピーディーに商品化できる一方、ベースのチョコレート自体の風味設計まではコントロールしにくいという制約があります。これに対してBean to Barは、カカオ豆の産地・発酵・焙煎から自社(またはOEM先)でこだわって作り込むため、カカオ本来の風味とのバランスを踏まえて抹茶の香り・苦味・甘さを繊細に設計できます。抹茶とチョコレート、どちらの風味も引き立てながら独自の味わいをつくりたいPB企画にとっては、この作り込みの自由度こそが差別化の源泉になるため、Bean to Barの製法が適していると言えます。
ただし、Bean to Barはカカオ豆の仕入れから焙煎・配合設計までのノウハウが求められる領域であり、すべてを自社で完結させるのは容易ではありません。そこで実績のあるBean to Bar専門のOEMパートナーと組むことが、味づくりの精度とスピードを両立させる現実的な選択肢になります。
10.WHOSE CACAOのチョコレートOEMがPB商品の開発と相性が良い理由
ここまで見てきたように、抹茶チョコレートのPB企画を成功させる鍵は「産地・味・パッケージにどれだけ独自のストーリーを込められるか」にあります。そのストーリーを実際の味として形にするには、原料選定から配合設計までを一貫して任せられるOEMパートナーの存在が欠かせません。
Bean to BarチョコレートのWHOSE CACAOでは、原料の選定から、発酵、焙煎、配合、レシピ設計、商品設計、量産まで一貫して対応できることが強みとして示されています。単なる製造受託ではなく、ブランドの世界観を味として表現することを重視している点が特徴です。
抹茶のようにブランドごとの世界観を味で表現したいPB企画とも相性の良いパートナーです。具体的な相談は、下記のOEM案内からご確認いただけます。
OEM / BEAN TO BAR
抹茶を活かしたオリジナルチョコレート開発ならWHOSE CACAOへ
小ロット相談から、カカオ原料の選定、風味設計、試作、量産まで一貫対応。抹茶チョコレート開発にも活かしやすいBean to Bar OEMです。
WHOSE CACAOのOEMサイトを見る11. まとめ
抹茶チョコレートは、原料調達のしやすさ、産地ストーリーによる差別化のしやすさ、そして季節限定企画やギフト化への展開しやすさという、PB企画に求められる条件を高いレベルで満たすカテゴリーです。国内外で市場が拡大し、消費者の受容度もすでに高いからこそ、PBとして参入する際の説明コストが小さく、店頭・EC双方で売場を作りやすいという利点があります。定番・季節限定・ギフトの3つの展開軸を年間カレンダーに落とし込みながら、自社ならではの産地ストーリーやパッケージデザインを打ち出すことで、価格だけに頼らない自社ブランド商品として育てていくことができるはずです。