小ロットOEMはなぜ断られる?チョコレート業界の裏側と小ロット成功の方法
■ はじめに:小ロットでつくりたいのに、なぜ話が進まないのか?
「最初は300個だけでいいんです。テスト販売したいので…」
そう伝えた瞬間、相手の空気が変わる。
電話口の向こうで、やんわりとした声が落ちてくる。
「申し訳ありません…。うちは最低500kgからなんです」
別の工場に相談しても、
「小ロットは難しいですね…」「まずは年間契約から…」と同じ返事。
なぜ、こんなにも小ロットが嫌がられるのか?
熱量を持って企画している側からすれば、理解しづらい。
ですが、業界には一般には語られない“事情”があります。
本記事では、
小ロットOEMの壁の正体と
どうすれば小ロットでも成功できるのかを、
フーズカカオの現場視点でわかりやすく解説します。
■ 1. 小ロットOEMが嫌がられる3つの理由(業界の真実)
▼ ① “段取り”と“切り替え”にコストがかかりすぎる
チョコレート製造は繊細です。
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温度管理
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機械の洗浄
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ラインの切替
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材料の投入
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テンパリング調整
これらは1つのロットでも1000個でも、ほぼ同じ手間がかかることになります。
つまり、小ロットは利益が出ません。
▼ ② 素材のロス、洗浄コストが小ロットのコスト高を生む
チョコレートは油脂の塊です。
ライン洗浄だけで数キロが廃棄になります。
50kgの注文でも、洗浄で3〜5kg消えることになります。
これでは工場は赤字になりやすい。
▼ ③ “小ロット=手間が増えるのに儲からない”構造
製造業は基本的に
「量が増えるほど効率が上がる」モデルです。
そのため、大半のOEM工場は
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小ロットNG
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試作は有料
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既存レシピのみ
という方針を取らざるを得ません。
これが、小ロットOEMが嫌がられる本当の理由となります。
■ 2. 小ロットOEMで“失敗する依頼者”が陥りがちな勘違い
①:小ロットだからすぐ作れると思っている
→ 実際には大ロットより手間がかかることも多い。
②:レシピ自由度が高いと思っている
→ 小ロットでは自由度は逆に低くなるのが一般的。
③:まずは100個だけ作って、その後増やす
→ 工場側は“増える保証”がない限り嫌がる。
④:簡単な商品なら安く作れる
→ “簡単”という概念は依頼者と工場で全く違う。
OEMで失敗する原因は、
互いの常識のズレにある。
■ 3. では、フーズカカオはなぜ“小ロット”が可能なのか?
▼ ① 小ロットに最適化された設備レイアウト
通常の工場は“効率”優先ですが
フーズカカオは“小中規模多品種”を前提にチョコレート加工ラボを構築しています。
その結果、
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少量でもロスが少ない製造装置
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洗浄可能な小規模装置と生産効率の高い装置を組み合わせる
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レシピ切替が簡単
という、日本でも珍しい“小ロット構造”が可能になったチョコレート工房です。
▼ ② 発酵 × 焙煎 × レシピの連動型開発
一般OEM:
既存チョコを溶かして形を変えるだけ
フーズカカオ:
素材そのものを開発し、レシピを組み上げる
だから少量でも早く、精度高く作れます。
▼ ③ 原料持ち込みOK(業界では稀)
通常はNG。
なぜなら品質コントロールが難しいから。
でもフーズカカオは
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産地レベルで素材開発
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発酵・焙煎の技術蓄積
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原料の“癖”を把握する能力
があるため、対応が可能となります。
※逆に、持ち込みが難しいのは雑菌数が多く、水分値の高い素材です。チョコレート生地に練り込む際に粉砕しチョコレートに溶かし込む必要がありますが殺菌できる工程は焙煎のみとなるため雑菌数が多い食材は殺菌と風味の調整が難しく加工ノウハウを新たに構築する必要があります。また、水分が多いとチョコレート生地の粘度が上がってしまい作業効率が著しく下がります。いずれも費用を大幅にアップする要因となってしまいますので、加工方法についてまずはご相談ください。
▼ ④ 「ブランドの世界観」を風味に翻訳できる技術
これが他社と決定的に違う点。
“お店の空気感”
“提供したい体験”
“香りの方向性”
こうした抽象的な要望を、
実際の香り・味に落とし込むことができる。
職人的なOEMと、科学的なOEMの
両方の良さを持つのがフーズカカオの加工の特徴です。
■ 4. 小ロットOEMを依頼する前に準備すべき5つのこと
これがあるだけでOEMの成功率は跳ね上がります。。
① 目的(販売/ノベルティ/カフェ提供など)
用途によってレシピが変わる。
② 理想の味の方向性(甘さ・香り・酸味)
具体的でなくて良い。
「ナッツ香が欲しい」「酸味は弱め」だけでOK。
③ ロット(最低数量)
迷っていても相談した方が良い。
④ 希望単価の上限
品質レベルの判断材料になる。
⑤ 納期
ギフト用途は特に重要。
■ 5. 小ロットでもブランド価値を上げるチョコの作り方
▼ ① 素材にこだわる
小ロットは“量”や"安さ"では勝てない。
素材やブランドで勝つべき。
▼ ② 世界観 × 味 × パッケージを一体化
味とデザインが一致して初めてブランドになる。
▼ ③ ストーリーを“香り”で表現する
香りは最も強い記憶。
差別化になる。
■ 6. まとめ:小ロットはハンデではなく“ブランドの武器”
大量生産の工場では出せない、
個性・香り・物語が小ロットだからこそ実現できる。
小ロットOEMは、
単なる製造ではありません。
“ブランドの原点をつくるプロセス” です。
あなたの描く未来の味を、
小ロットでも、美しく、正確に。
フーズカカオはそのためのパートナーであり続けます。